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世の中が効率・生産性を最も評価する風潮にあるということは以前にも書いたので言うまでもなく、それに僕が飽き飽きしていることはもっと言わなくてもいいかもしれません。
そんな「評価されたいなら生産的なことしろ社会」から一線を引く行為として、実のならないオリーブを育てています。
と大袈裟に言いましたが、引っ越した家に偶然そのオリーブは生えていて、入居前に大家さんから「抜きますか?」と聞かれて「抜きません」と言ったので世話することになっただけです。
このオリーブは実がならない。一般的に実をつけさせるためには近くに別の品種のオリーブを植えるものらしい。
一時期、ペペロンチーノのシンプルさと奥深さにハマり、毎晩取り憑かれたようにペペロンチーノ作っていた身としては、自家製オリーブオイルの制作はぜひチャレンジしてみたいところではあります。しかし残念ながらもう一本植えるほどのスペースはうちにはないので諦めています。
そういうわけで、実のならないオリーブのお世話をしています。
このオリーブの成長は凄まじく、どんどん上へ横へを目指して伸びていく。少し剪定をサボるとすぐに2階まで達してしまい、もう容易には手のつけられない領域まで伸びていってしまう。そのため、塀に登ればギリギリ届く高さの段階で剪定しないといけない。
このオリーブの向上心は本当に分けてもらいたいと思う。
このオリーブは多少の景観の足しになっているのか、逆に損なっているのかわからない野性味溢れる見た目で、実が成ることも期待できない。
しかしこのオリーブを育てるという行為には、たまにどこか清々しく感じることがあります。
この行為をより具体的に書くならば、暑い日差しが降り注ぐ中、休みの貴重な時間を使って塀によじ登り、元気すぎる枝を剪定するという作業に対しての見返り(結果)が何もないというものです。
もちろん実がなるという生産性以外の部分に目を向ければそんなこともないと思いますが、オリーブは実がなるものと思っていた自分にとっては実のならないオリーブを育てている行為に面白さを感じてしまいます。
実のならないめちゃくちゃでかい茄子を育てている感覚です。
こういった行為は、すぐどこかに生産的な要素をとり入れなければと考えてしまう自分へのリセットポイントのような働きもしていますし、休みの日に何か家のことをした、という個人的な「休み充実度」の底上げの役割を果たしていたりしています。
2022.6.6
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